本紹介2:金子勝&児玉龍彦『逆システム学』

2013.01.14 Monday 01:20
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    金子勝&児玉龍彦『逆システム学』を紹介します。金子教授は慶應義塾大学の経済学部教授、児玉教授は東京大学の臨床医かつ最先端の医学研究者です。

    児玉教授は2011年の福島原発事故後、衆議院厚生労働委員会に参考人として出席され、「7万人の人が自宅を離れてさまよっているときに、国会は一体何をやっているのですか!」と委員達に向かって激しい口調で詰め寄っていた姿が話題となりました。

    私は短期間ですが児玉教授と共同研究チームで直接お話しする機会に恵まれ、自家用車に乗せていただいたことがあるのですが、本当に普段は温厚な方です。ですので、委員会の姿は驚きでした。福島で継続的な除染活動も実践され、2011年には英科学誌Natureの「科学に影響を与えた今年の10人」に選ばれました。日本の宝です。

    「人間のDNA配列のうち、要素である蛋白の配列は2%で、残り98%は調節制御に関わる配列。ネズミと人間では要素の数はあまり変わりなく、調節制御が変わる。つまり、個別の遺伝子が解明されたからといって、そのままシステム全体がわかるということにはならない。簡単に人間全体の個体差が理解できるわけではないということが分かってきた。」
    「かつての要素還元論でバラ色の夢を見ることが不可能なのは、誰の目にも明らかになりつつある。」

    要素還元論とは、全体を小さい要素に分解し要素の理解をもって全体を理解した、とする科学論です。遺伝子という概念に端を発し、原因が単純な感染症、単一な遺伝子による疾患などは解明が進みました。デカルトに始まる科学、要素還元論の一定の有効性は否定できません。

    その一方、ウニの遺伝子の数がヒトとほぼ同じで、その7割がヒトと共通している事まで判明し、ヒトとウニとの違いを説明できない、要素還元論の自己矛盾が生じました。
    ヒトゲノム計画の解読が終了した翌年、2004年に本書は発行されました。先見の明に驚きます。

    ヒトゲノム解読でほとんどの疾患が治せる?残念ながらそれは夢物語です。相場に理外の理、周期性があるように、経験知、複雑系に重きをおく東洋医学は今後、close upされてくるはずです。今日の記述は、epigeneticsなど新しい医学概念を説明しなければなりません。今後、少しずつ噛み砕いて再掲します。
    category:ベクトル | by:坂本ヒロミツcomments(0)trackbacks(0) | -
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