本紹介6 本庶佑『ゲノムが語る生命像』

2013.02.01 Friday 00:00
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    ゲノムが語る生命像12日前に出版されたばかりの本『ゲノムが語る生命像』です。世界的に高名な医師である著者、本庶佑 氏の講演を聞いたのは22年前、医学部2年生の時でした。懐かしいなぁ。

    彼が伝えたい核心は「ゲノムの壁」と名する次の内容にあるでしょう。0・1の話およびデジタル・アナログの話に似た内容です。ゲノムは以前の記事を参照ください。

    「物理学では有限の世界でものを考えることは難しい。すなわち、ある物質が「ない」という証明は不可能である。たんに計測ができないだけかもしれないからである。
     ところが生命化学では、ゲノムの中に存在しない遺伝情報は「ない」と断言できるのである。ゲノムは有限な遺伝情報を持つにすぎない。それにもかかわらず、ゲノム情報によって動かされている生命体の活動は、まさに無限とも思えるほどに複雑である。その仕組みの解明こそ、今後の生命科学の課題である」(34ページ〜)

    テーゼ(命題)を「有限な遺伝情報ゲノムで全てが解明できる」とすると、アンチテーゼ(反対命題)は以下のようになるでしょうか。「いやいや、『生命体の活動は、無限とも思えるほどに複雑』と、いみじくもYouが言うようにゲノムのみでは解明できないよ。無限の世界を否定できないのなら、物理学も否定できないんじゃないの?」

    本書は1986年、一般の人向けに分かりやすく遺伝子を伝えるため、書かれた内容を加筆、改稿したものです。正直、専門的知識がないと理解困難な内容になってしまっています。が、分かりにくくなってしまったのは、氏のせいではありません。30年弱で分子生物学が「知りすぎてしまった」んです。細切れにDNAを切り刻んでも、それだけでは「何も分からないことが分かってしまった」んです。とはいえ、epigenetics, microRNAを紹介する第4、5章だけ眼を通しても、十分おもしろいです。

    これから重要なのは、情報の統合、複雑系の解析、システムスバイオロジー(本書214ページ)。それこそがジンテーゼ(統合命題)だと思います。そこに東洋医学が絡むと確信してます。
    ということで、近日、『2045年問題』という本を紹介します。

    category:ベクトル | by:坂本ヒロミツcomments(0)trackbacks(0) | -
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